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エレキベースの基礎知識 / 概要・パーツ・演奏方法・必要品を解説

プレシジョンベース 楽器
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この投稿の趣旨
どうも、DENです。趣味でやっていたエレキベースの基礎知識をまとてみました。エレキベースの概要、パーツ、演奏方法、演奏・練習に必要なものを解説します。

エレキベースなる楽器を概説

エレキベースは、ポピュラー音楽の合奏(アンサンブル)において低音パートを担当する弦楽器です。エレクトリックベース、ベースギター、あるいは単にベースとも呼ばれます。エレキベースの概要をまとめました。

まずは歴史を簡単に

世界初のエレキベースは、1951年に「Fender(フェンダー)」より発売されました。「Precision Bass(プレシジョンベース)」と名付けられた、画期的な楽器の登場です。

プレシジョンベースの登場以前、バンド演奏の低音パートはコントラバス(ダブルベース、ウッドベースとも呼ばれます)が担っていました。コントラバスは全長が180cmを超える大きな楽器です。重量もあり、運搬は楽ではありませんでした。

コントラバス

コントラバス

これに対して、プレシジョンベースはエレキギターを少し大きくした程度のサイズ(全長115cm程度)です。それでいてコントラバスとほぼ同じ音域を演奏でき、演奏方法もコントラバスと似ています。手軽に運搬できるプレシジョンベースの登場は、コントラバス奏者にとって朗報だったことでしょう。

プレシジョンベースには、アンプ(音を増幅する装置)から音を鳴らすシステムと、フレット(弦を押さえる場所を示す金属部品)が採用されました。

この2点も画期的なポイントです。 アンプを使うシステムの採用により、大音量での低音演奏が可能となりました。フレットは演奏技術の習得を容易にしてくれます(コントラバスは基本的にフレットなし、手の感覚で音程を調整する)。

エレキベースとベースアンプ

エレキベースとベースアンプ

プレシジョンベースの発売より約2年後には、フェンダーのライバル社であるGibson(ギブソン)も同社初のエレキベースを発表しています。名称は「エレクトリックベース」と、そのまんまだったようです。

1957年、フェンダーはプレシジョンベースをモデルチェンジしました。1960年には上級エレキベースとして「JAZZ BASS(ジャズベース)」を発売しています。

ジャズベースの登場をもって、エレキベースの基本形は完成しました。現在においても、ジャズベースとプレシジョンベースはエレキベースの代表機種として活躍しています。

エレキベースで出せる音域

一般的なエレキベースには弦が4本張ってあり、3オクターブ近い音域で演奏できます。レギュラーチューニング(基本的な音程セッティング)をした場合の、エレキベースで出せる音域は以下のとおり。
図解:ベースギターの音域
赤で示した範囲はフレットが20個ついた4弦ベースで出せる音域です。フレット数もしくは弦の本数が多いベースは、より広い音域で演奏できます。たとえばフレットが24個ついた4弦ベースであれば、20フレットのベースより鍵盤4個ぶん音域が広くなります(青で示した範囲)。

オクターブ
オクターブとは、ピアノの鍵盤12個ぶんの音の間隔(=音程)です。たとえば、ドから鍵盤12個ぶん(白鍵・黒鍵合わせて)右へ進むと、1つ高いドの音にたどり着きます。最初のドと1つ高いドの関係をオクターブ(1オクターブ)といいます。鍵盤24個ぶん離れた同名音との関係は2オクターブです(下図参照)。
図解:オクターブ
楽器や声が出せる音の範囲もオクターブで表される場合があります。シンガーのMISIA(ミーシャ)さんは5オクターブの声域をお持ちだそうです。

エレキベースを構成するパーツ

図解:ベース構成パーツ
画像のエレキベースはフェンダー プレシジョンベースです(先に解説した初期モデルとは形状・仕様が異なります)。各パーツの名称は、基本的に全てのエレキベースで共通しています。

ネックを構成するパーツ

エレキベース本体は、ネック(棹/さお)とボディに大別できます。ネックを構成するパーツは以下の6つです。

  • ヘッド
  • ペグ
  • ネック本体
  • 指板
  • ナット
  • フレット

ヘッドはエレキベースの先端パーツです。ネック本体と一体になっており、4つのペグ(4弦ベースの場合)が装着されています。

図解:エレキベースのヘッド

ヘッドの表と裏

ペグはエレキベースのチューニング(音合わせ)に用いるパーツです。突起部分(ストリングポスト)に弦を巻きつけて、把手を回して音程を調整します。ペグは「マシンヘッド」とも呼ばれます。

ネックの表面には指板(しばん)が貼られています。指板には「ナット」とフレットが装着されています(指板とヘッドの間にナットが付いている機種もあります)。

図解:指板・ナット・フレット

指板・ナット・フレット拡大写真

ナットはヘッド側で弦を固定するパーツです。小さいパーツですが、エレキベースの音質に大きな影響を与えます。フレットは、左手の指(右利き用ベースの場合)で押さえる位置を示すパーツです。任意のフレットの上側(ヘッド側)を押さえることにより、目当ての音程を正確に演奏できます

フレットを備えていないエレキベースもあります(フレットレスベース)。

ボディを構成するパーツ

エレキベースのボディ部分は、以下のパーツで構成されています。

  • ボディ本体
  • ピックアップ
  • 各種ノブ(ボリューム、トーンコントロールなど)
  • ブリッジ
  • アウトプット・ジャック
  • ピックガード
  • ストラップ・ピン

ほとんどのエレキベースのボディ本体は、木材で作られています。先に解説したネックやヘッド、指板も同様です※1 。ボディ本体には、多数のパーツが搭載されています。

ピックアップは、弦の振動を電気信号に変換するパーツです。スタンダードなプレシジョンベースには1つのピックアップが備わっています。現代的なエレキベースのピックアップ数は2つが主流です。

ヤマハ5弦ベース

ピックアップ2つのベース

各種ノブは、エレキベースの音量・音質を調整するパーツです。ノブの下(ボディ内部)には電子部品が入っており、配線によってピックアップとつながっています。

ノブの数はエレキベースの機種ごとに異なります。プレシジョンベースのノブは2つ、スタンダードなジャズベースのノブは3つです。よりたくさんのノブ(およびスイッチ)を搭載するエレキベースもあります。

ベースノブ拡大写真

左:プレシジョンベースのノブ / 右:他機種のノブ

アウトプット・ジャックは、エレキベースの音を外部に出すための出力端子です。エレキベースを演奏する際は、アウトプット・ジャックにシールドと呼ばれる配線を挿し込みます※2

ブリッジは弦をエレキベースに固定するパーツです。ブリッジにはサドルと呼ばれるパーツが付いています。サドルは弦が振動する支点となるパーツです。フェンダー製ベースのサドルには、弦の高さや音程を調整する機構が備わっています。

図解:ブリッジ

ブリッジ

ピックガードは、ピックの使用による傷からボディを守るパーツです。ピックはエレキベースの演奏に用いる小さな板、三味線でいう撥(ばち)です。エレキベースには、ピックガードの付いていない機種もあります。

ピック

ピック

ストラップ・ピンは、エレキベースにストラップ(吊ひも)を装着するためのパーツです。立ってエレキベースを演奏する際はストラップを使用します。ボディ下側のストラップ・ピンは、エンドピンとも呼ばれます。

図解:ストラップピン

左:ストラップ・ピン / 右:ストラップ使用時の写真

以上、エレキベースの構成パーツを簡単に解説しました。次節ではエレキベースの基本的な演奏方法を解説します。

補足説明

※1ボディ材にアルミを使用しているエレキベース、ネック・ヘッド材にカーボングラファイトを使用しているもあります。
※2 シールドとは、アンプやエフェクター(音を加工する機器)などの音響機器と、楽器を接続する配線材です。

エレキベースの演奏方法

エレキベースは両手を使って演奏する楽器です。右利き用ベースの場合は、左手で音程を調節し、右手で弦を弾きます。ベースの主な演奏方法は3種類あり、奏法の違いを生むのは右手です。3種類の演奏方法を解説します。

指弾き

右手の指で弦を弾く奏法。人差し指と中指で交互に弦を弾く、2フィンガーと呼ばれる弾き方が最もポピュラーです。2フィンガーに薬指を足す3フィンガー、さらに親指を足す4フィンガーなど、より多くの指を用いる奏法もあります。

2フィンガーピッキング

2フィンガー奏法

楽曲によっては、親指だけで弦を弾く場合もあります。イギリスのミュージシャン「スティング」は、親指弾きを好んで使っているようです。親指で弦を弾くと柔らかな音色が得られます。

ピック弾き

ピックで弦を弾く奏法です。指弾きと比べて、アタック感の強いシャープな音色が得られます。ピックの使い方としては、「オルタネイトピッキング」と呼ばれる奏法がポピュラーです。

ピック弾き

ピック弾き

オルタネイトピッキングとは、ピックを振り下ろす動作と、振り上げる動作を交互に行う奏法です。ピックを上下させる動作の繰り返しにより、リズムをキープしやすくなります。

ただし、これはあくまで弾き方の1つです。曲によっては、あえてピックを振り下ろす動作(ダウンピッキング)のみを使う場合もあります。

スラップ

親指と人差し指(または中指)を使い、パーカッシブ(打楽器的な)音を出す奏法です。日本の演奏シーンにおいては、かつて「チョッパー」と呼ばれていました。

スラップ

スラップ

オーソドックスなスラップでは、親指で低音弦(低い音が出る弦)を叩きます(サムピングといいます)。人差し指(または中指)は、高音弦(高い音が出る弦)の担当です。指で弦を引っ張り上げて離し、張力で指板に叩きつけます(プルといいます)。ゴムパッチンの要領です。

上記は基本的な弾き方であり、近年は多様なスラップ奏法が編み出されています。スラップの名手としてあげられるのは、マーカス・ミラー、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、マーク・キングなど。日本人プレイヤーでは鳴瀬喜博、kenken(RIZE)などが有名です。

※ベースの基本的な弾き方はこちらの記事で解説しています。
ベースの基本的な弾き方まとめ。両手のフォームから各種奏法まで解説

エレキベースの演奏・練習に必要なもの

エレキベースは本体だけでは演奏できません。演奏や練習を行うには、いくつかのアイテムが必要です。エレキベースの演奏・練習に必要なものを解説します。

シールド

先に触れたように、シールドはエレキベースとほかの機器をつなぐ配線です。シールドとは、電磁波の影響を軽減するように加工した配線のこと。Shielded Cable(シールデッド ケーブル)を略した呼び方です。

シールド

シールド

シールドにはたくさんの種類があり、長さも製品ごとに違います(切り売りしている製品もあります)。エレキベースを演奏・練習するには、必要な長さのシールドを、必要本数用意しなければなりません。

演奏・練習に必要となるシールドの長さ・本数は、演奏者ごとに異なります。ステージ上で演奏を行うには、最低でも5m程度のシールドが1本必要です。

メトロノーム

メトロノームは、一定のテンポで音を出してくれる機械。リズムトレーニングに役立ちます。エレキベースはリズムが重要な楽器であり、練習にメトロノームは必須といえます

アイフォンのメトロノームアプリ

iPhoneのメトロノームアプリ

メトロノームには、機械式のものと電子式のものがあります。近年はメトロノームのスマホアプリもたくさんリリースされています。無料アプリも多いので、スマホをお持ちの方はインストールしておくとよいでしょう。筆者DENもiPhoneのメトロノームアプリ「Tempo Advance」を愛用しています(有料アプリです)。

メトロノームの補足

エレキベース上級者には「メトロノームは不要!」と考える人もいるようです。考え方は人それぞれ。リズム感に自信があるなら、メトロノームなしでもよいのかもしれません。ただ、メトロノームを使って練習したほうがよいと僕は思っています。メトロノームは友達。

チューナー

チューナーはエレキベースの音合わせ(=チューニング)に使う機器です。コンパクトエフェクタータイプ、クリップタイプ、ラックタイプなどの種類があります。

チューナー

チューナー「BOSS TU-12」

チューナーもスマホアプリでまかなえます。ただ、スマホにはシールドを接続できませんスマホアプリでチューニングを行うには、アンプからエレキベースの音を出し、その音をスマホで拾う必要があります。このチューニング方法は、バンド練習や演奏本番には不向きです。

これからエレキベースを始める方は、少なくともクリップタイプのチューナーを持っておいたほうがよいでしょう。クリップタイプのチューナーは1,000〜1,500円程度で購入できます。

※専用機器(オーディオ・インターフェース)を使えば、スマホとエレキベースを接続できます。

アンプ

アンプ(ベースアンプ)はエレキベースの電気信号(音の信号)を増幅する機器です。アンプで増幅された電気信号は、キャビネット(スピーカーの入った箱)から音として出力されます。

比較的小さなアンプの大半は、アンプとキャビネットが一体になっています。このため、単体で音を出すことが可能です。音楽スタジオやライブハウスに置いてある大きなアンプは、アンプとキャビネットが別体になっています。

小型アンプと大型アンプ

左:小型アンプ / 右:大型アンプ

出力10W(ワット)程度の小型アンプは、家庭用機種として販売されています。ただ、エレキベースの出す低音は遠くまで響くため、一般家庭でのアンプの使用には注意が必要です。比較的広い家屋であっても、深夜にアンプを使ったベース練習を行うと、近所から苦情が来るかもしれません。

小型アンプには、ヘッドホン端子が備わっている場合があります。夜間にエレキベースを練習する機会が多いなら、ヘッドホン端子付きのアンプを購入するとよいでしょう

※後述するマルチエフェクターも、夜間のベース練習に役立ちます。

エフェクター

エフェクターはエレキベースの音色を加工する機器です。エレキベースとアンプの間に接続することにより、音色を変化させられます。

コンパクトエフェクター

エフェクター「PQ-3B」

エフェクターの種類は多数あり、得られる効果はさまざまです。ただ、いずれのエフェクターも、エレキベースの演奏に必須ではありません。演奏活動をするなかで、必要と感じたときに購入すればよいと思います。

少ない予算でいろいろなエフェクターを試したい、と考えるなら、マルチエフェクターを使ってみるのも手です。マルチエフェクターとは、多種類のエフェクターを1つにまとめた機器。さまざまなエフェクターの効果を1台で得られます。

マルチエフェクター

マルチエフェクター「ZOOM B2」

マルチエフェクターは練習用アイテムとしても優秀です。多くのマルチエフェクターにはチューナー機能が備わっていますし、ヘッドホンを接続できる機種もあります。自宅でアンプを鳴らせない方は、マルチエフェクターをベース練習に活用してみてください(僕もマルチエフェクターで練習しています)。

まとめ

エレキベースは歴史の浅い楽器であり、誕生より約70年ほどしか経っていません。とはいえ今やその存在は、ポピュラーミュージックに欠かせないものとなっています。

音楽の低音パートに興味があるなら、ぜひエレキベースを手にしてみてください。音楽ライフを楽しむための、よき相棒となってくれますよー。

それではまた!

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