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ベースの役割まとめ。基本からバンドでの立ち位置まで

ベーシスト 楽器
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この投稿の趣旨
ベース(エレキベース)はバンドでどんな役割をもつ楽器なのかまとめてみました。基本的な役割を中心に解説。バンドメンバーとしての立ち位置も考察します。

ベースが担う基本的な役割

バンド(ロック・ポップスなどを演奏するバンド)において、ベースが担う基本的な役割は3つあります。

  • コードの低音を担当する
  • ドラムと一緒にリズムをつくる
  • 曲の流れを調整する

以上3つの役割を1本でカバーできるのが、ベースって楽器なんですね。

っていっても、ベースは基本的に単音を弾く楽器(1音ずつ弾く楽器)だから、「役割が多い=演奏が難しい」なんて考える必要はないと思います。

というわけで、ベースが担う役割を1つずつ詳しく見ていきましょー。

ドラムと一緒にリズムをつくる

ドラムセット

「ドラムと一緒にリズムをつくる」ってのは、ベースの役割のなかでも基本中の基本です。

「リズムってドラムだけでつくれるんじゃないの?」って思う人もいるかもしれません。それはそのとおり!なんですが、ドラムにベースの音が合わさると、低音の厚みが増してリズムに迫力が出るんです。

ロックやポップスの演奏では、バスドラムとベースの音を合わせることが多いです。バンド演奏に用いられる楽器のなかで、一番低い音を出すのがバスドラム。ベースはバスドラムより少し高い音を出します。

バスドラムとベースのタイミングが合うと、すごく厚みのある低音が響きます。2つの楽器ではじき出す低音が、バンドのリズムの要(カナメ)になるんですね。

※バスドラム・・・ドラムセットのなかで一番低い音が出るドラム。ドラマーの足元にある一番でっかい太鼓です。

コードの低音を担当する

バンド演奏において、ベースは「コード(和音)」の一番低い音を担当します。

コード

コード(chord)とは、音程が異なる複数の音の組み合わせです。3つ以上の音の組み合わせには「コードネーム」という名前がつけられます(下図の場合はCトライアド)。

図解:Cトライアド

Cトライアド= C(ド)、E(ミ)、G(ソ)の組み合わせ

上記の例にあるコード「Cトライアド」をバンドで演奏する場合、ベースは基本的にC(ド)の音を弾きます。Cトライアドにおいて、Cはコードの基本になる音です。

音楽用語では、CはCトライアドのroot(ルート)、もしくは根音(こんおん)と呼ばれますベースでルートを弾くことにより、ほかの楽器の奏でるコードの音が安定します。

中・高音(ほかのメンバーの音)を低音(ベース)で支えるイメージです。つまりベースには、バンドが奏でるコードを支える役割があるんです。

ルートの補足
ルートはコードごとに異なります。「Fトライアド」のルートはF(ファ)、「GトライアドのルートはG(ソ)です(下図参照)。

図解:ルート

ただし、これはあくまで基本であり、ベースがルート以外の音を弾く場合もあります。ベースが何の音を演奏するかはケースバイケース。楽曲の展開に合わせて、効果的な音が選択されます。

たとえばバンドがCトライアドを演奏する際に、ベースがE(ミ)やG(ソ)を弾く場合があります。EやGでは、Cを弾いたときのような安定感は出ません。その代わりに、浮遊感のあるサウンドになります。

ベースの出す音次第で、バンド全体のサウンドって大きく変わるんですね。それだけ低音には、バンドサウンドに対する影響力があるってことです。

もう1つ付け加えると、ベースの弾き方次第で、バンド演奏のノリもかなり変わります。この点は、次の「曲の流れをつくる」の項目で掘り下げることにしましょう。

曲の流れをつくる

ベースには、曲の流れをつくる役割があります。ここでいう曲の流れとは、ノリとか曲が進む勢い…みたいなものと思ってください。先ほど触れた安定感や浮遊感も、曲の流れをつくる要素です。

たとえば、ベースでルートのみを弾く場合。すべての音を同じ長さで弾くか、一部を短く弾くかで曲のノリが変わります。音源AとBを聴き比べてみてください。

音源A

音源B

音源Aでは、音の長さが(なるべく)均等になるように弾いています。スムーズで安定感がある反面、ノリは弱いように感じないでしょうか?

音源Bは「タッター、タッター」ってイメージで弾いています。「タッ」と「ター」の間の隙間が、ノリを強めているように感じませんか?この反面で、音源Aのようなスムーズさは感じられないと思います。

次に、ベースがルート以外の音を弾く音源を2つ聴いてみてください。

音源C

音源D

音源Cでは、Cトライアドのコードに対して、ベースがE(ミ)だけを弾いています。浮遊感がある、あるいは落ち着きのない感じがしませんか?ベースの音が高くなったぶん、全体的に上ずった感じに聞こえるかもしれません。

音源Dでは序盤でEを弾き、途中からルートのCを弾いています。EからCに変わる手前には、ちょっと動きのあるライン(フレーズ)を入れました。ベースの音の変化による、サウンドの変わり方を感じてもらえたかと思います。

最後に、4つのコードを使った音源を2つ聴いてみてください。

音源E

音源F

音源Eでは、各コードのルートだけを弾いています。音源Fは、ルートとそれ以外の音を混ぜて弾いたものです。各音の長さも調整して、動きを感じられるフレーズにしてみました。

音源EとFでは、かなりイメージが違っていると思います。そのイメージの違いが、曲の流れの違いです。ちょっとつたない解説でしたが、ベースが曲に与える影響を感じてもらえたらうれしいです。

ベースは土台?接着剤?

ここまでにお話したように、ベースは“ドラムと一緒にリズムをつくり、コードの低音を担当し、曲の流れを調整する”楽器です。こうした性質から、ベースは「演奏の土台となる楽器」って呼ばれています。

リズムとコードの両方に関わることから、ベースの役割は「(音の)接着剤」なんて言われることも。こうした呼ばれ方を聞いて、「土台とか接着剤なんてあんまりカッコよくないな」って思う人も多いかもしれませんね。

ベース=接着剤?土台?

同じ楽器でも、ギターには華々しいイメージがあります。対するベースには、ちょっと地味な印象がある。実際、演奏後にお客さんから「ベースって地味やねぇ」とか言われることも(実体験)。

とはいえ、ベースは重要度の高い楽器です。バンドをクルーズ船に例えて考えてみましょう。ギター・ボーカル(目立つパート)を客室や外装とするなら、ベースは船底です。

いかなる豪華クルーズ船も、底に穴が空けば沈んでしまいます。船底がしっかりしているからこそ、ゴージャスな船旅を楽しめるんです。同じように、バンドでギターやボーカルが活躍するには、ベースがしっかりしている必要があります。

ベースは土台。これは紛れもない事実です。とはいえ、ベースには土台以外の役割もありますよ。どのような役割があるのか、次の節でお話します。

基本以外のベースの役割

ここまでにお話したベースの役割は、どれもバンド演奏における基本的なものです。では、基本以外のベースの役割にはどんなものがあるのか。バンド演奏以外でのベースの使い方も合わせて、ざっと見てみましょう。

  • イントロ
  • ソロ(バンド演奏におけるベースソロ)
  • 単独で伴奏
  • 単独で演奏(完全にベースだけでの演奏)

バンド演奏において、ベースが単独でイントロを弾くケースがあります。ロックやポップスの場合だと、イントロの出だしをベースが弾いて、途中からほかの楽器が入る…みたいなパターンが多いですね。

ソロの演奏もベースの役割の1つです。ロックやポップスでは、ベースソロを演奏する機会は少ないかもしれません。ジャズでは頻繁にベースソロが演奏されます。

ベースが単独で歌の伴奏をするケースがあります。デュオってやつですね。DENも1回だけやったことあります。一般的な演奏形態ではないですが、YouTubeを探すとけっこう見つかりますよ、ベース・ボーカルデュオ。


ベースで単独の演奏をする人もいます。純粋にベースだけで演奏したり、エフェクターを使ったりと、やり方は人それぞれです。デュオと同様に少数派ですが、ベースソロ主体で活動しているミュージシャンもいます。

…と、ベースの役割・使い方ってけっこうあります。バンドにおいてベースは土台。でも、そこに縛られる必要はありません。どんな弾き方をしようと自由です。

せっかくベースを手にするなら、自分なりの演奏表現を探したほうが楽しいと思います。基本も大事ですけどね。DENも新しい表現を探しますよー。

エフェクターについて補足
エフェクターとは、楽器の音を加工する機械です。ベースの単独演奏では、「ルーパー」と呼ばれるエフェクターがよく使われます。ルーパーは、楽器や歌の録音・再生を手早く行えるエフェクターです。ステージ上で録音・再生を行い、その音にさらに演奏を重ねる…といったパフォーマンスができます。

ベーシストはバンドの司令塔?

ここで、バンドメンバーとしての、ベーシスト(ベース奏者)の立ち位置(役割)について触れておきます。

ベーシストは、“バンドの司令塔”になる場合があります。ここでいう司令塔っていうのは、ほかのメンバーの演奏を冷静に聴いて、アイコンタクトや身振りなどで演奏を調整する役割って感じですね。

ベーシストが司令塔になる理由は、ハッキリとはわかりません。とあるブログでは、“自分が弾くベースよりほかの楽器の音のほうが聞き取りやすい、それで指示役を務めやすいのでは?”と解釈されていました。

実際、スタジオやライブ会場でベースを演奏していると、ほかのメンバーの音がよく耳に入ってきます。ベースの音とくらべて、ギターやボーカルの音は高い。高い音のほうが、低い音より聞き取りやすいんですね。

ベースは聞き取りにくく、ほかのパートは聞き取りやすい。だからベーシストは司令塔になる。なんとなく皮肉な感じもするけど、ちょっと当たってる気はします。

まあでも、ベース以外のパートが司令塔になるケースも多々あります。経験値の多いメンバーとか、バンドリーダーが指示を出すことが多いんじゃないかな。

ってことで、ベーシストが司令塔になるってのは、ケースバイケースですね。楽器の特性的には、ベーシストは指示役に向いていると思います。

まとめ

バンドのなかで、ベースは目立ちにくいパートです。その反面で、ベースは重要な役割をもつパートでもあります。目立たないけど重要。ちょっと割りに合わない感じがするかもしれませんね。

とはいえ、その重要パートを楽しくこなせるようになれば、自然とバンド内での存在感も出てくると思います。音楽で肝心なのは楽しむこと。今回お話した役割を意識しつつ、ぜひベースの演奏を楽しんでください。

それではまた!

接着剤のイラスト出典元:illust AC
土台の写真出典元:photo AC
動画はAndres Rotmistrovsky
さんのYouTubeチャンネルより引用

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